今年の新人の碧の両親は『ヘアーサロンKOYAMA』で私が総店長時代の後輩です。
親父が理容部の店長で母親は美容部のスタイリストでした。
私にとっては思い出深き良き時代です。
当時の写真です。
左から2番目の輩は元理容コンテストの常連で、現在東京都理容組合の教育の責任者を担っております川越剛です。
碧の両親は左から3番目と右から2番目です。
私の仲人が理容師で美容の技術習得のため私の実家で美容室で修行をしていて、その仲人に紹介されたのが『ヘアーサロンKOYAMA』でした。
小山氏に主に美容部門の責任者のオファーを頂いたのがKOYAMAでの始まりでした。
オーナーの小山立晃氏は全国理容競技大会の昭和59年第36回大会の第3部メンズスタイルのチャンピオンです。
理容業界で最も権威あるコンテストです。正に大先生。
そんな環境なので、スタッフはまあ〜よく練習していた。
夜は11時過ぎまでは当たり前。休日もサロンでは誰かしら練習していた。
正にコンテスト漬け。
90年の頃までは、カット&ブローの技術に関しては理容は美容より高かった。
マネジメントをしながら自分自身のカット技術が上達していくのを感じた。
サロンのスタッフは全国から理容室の跡取りが修行の場として集まります。
正に徒弟制度。労働環境は劣悪でタコ部屋に賄い飯で低賃金。
初任給は私の実家の美容室の2/3。
修行だから務まる。逆に跡継ぎでは無い者は多くが辞めていった。
当時の理容業界の体質は本当に古かった。改善の必要性を強く感じた。
私が総店長に赴任し最初に手を付けたのが初任給と賄い。
チャンピオンは毎年現れます。チャンピオンの肩書でスタッフが集められるのはせいぜい5〜6年。
その後は労働条件が劣悪であればスタッフは集まらなくなる。
美容は既にコンテストチャンピオンは存在感が薄くなりつつあった。
また当時、美容は3K(暗い、汚い、きつい)と言われ、美容業界全体での改善策が模索されていた。
スタッフを集めるにはやはり待遇改善だと思っていたので。
賄い、これはある意味スタッフからの搾取。また遅くまで練習すると食事が無くなるという不満が多かった。
小山立晃氏にはこれらの改善の提案をすんなりと受け入れて頂けた。
その結果、私とスタッフとの強い信頼関係が繋がり後の仕事が非常にやり易かった。
今でも当時のスタッフと会い当時の話題になると、賄いをなくした事に関しては未だに感謝されます。
KOYAMAの総店長前、私は既に実家でサロンを切り盛りしていたので技術的な部分においてはあまり学んだことは無かった。
しかしながら人材育成という部分では非常に貴重な体験をさせて頂いた。
実家でのスタンスは周りにアシスタント女の子数人を従え、自分がカットをしていればよかった。
しかしKOYAMAではスタッフが多いのでスーパープレイヤーを育成する必要があった。
しかも野郎ばかりの超体育会系。接客がむさ苦しかったのなんのって。
人数が多いので人間関係も複雑だった。
当時、私の周りで100万円プレイヤーを育てている美容師はそうは多くは無かった。
KOYAMAでの経験は自分が独立してから大いに役立った。
小山時代に小山立晃氏から受けた私の人生での財産となる教訓がある。
『酒は自分の金で飲め!』である。
経営者である以上、奢っても奢られるな!という事である。
その頃、小山は勿論の事、店長クラスの我々も化粧品メーカーの講師のオファーを受けた。
要するに講習という名の化粧品の宣伝広報部隊である。
その際、打ち合わせと称して店長クラスまでがメーカーの接待を受けるのである。
その席で小山立晃氏は必ず1品のつまみと一杯のビールでメーカーの営業に失礼を告げ、店長共々に退席を促し次の店へ。
そして小山は我々に「奢られる事には落とし穴が有る。足元を見られんだよ!」と呟くのである。
後にヴァンテアンのOPENからのお客様である『姐さん』からも同じことを訓示された。
それと美容畑の私が『Of HAIR』の古里オサムさんをはじめ、東京理容組合の理事等の理容業界の方々と懇意にして頂けるのは間違いなくKOYAMAのおかげです。
当時総店長をしながら、修行というものに大いに疑問を感じていた。
修業期間は概ね男で6年、女子で4年位だった。
自分自身の経験上、これでは短すぎる。
小手先の技術習得で終わってしまう。
基礎技術習得に5〜6年は要す。やがて汎用性まで広がり、その後にスタッフ育成を経験し、マネジメントを学び一人前の理美容師になれる。
おおよそ10年は掛かる。
美容と比べ理容に大手チェーンが存在しないのはこの修行体質のせいであろう。
碧の両親もポテンシャルは高かったのに、修業期間が短かかったのがとても残念であった。
去年の秋に碧の父親から
「うちの子供が美容師になりたい!というので、代田さんのところでお願いしたいのですが?若しくは良い所を紹介して頂きたいのですが?」
との電話を頂いた。
近年男子のスタッフに美容師としての限界を感じていたが
「娘です!」
というので私が育てることになりました。
最後の育成かな?
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